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1-3改
「…おい!あれじゃないか?」
男の一人が指差す先には、馬車が一台と馬に乗った兵士が二人。
「……騎士じゃないのか?」
遠くて判別しづらかったが、近づいてくるほどにその姿が鮮明になる。整った服装、腰に剣が一振り。戦時中ではないので鎧などは着てはいないが、身分の違いがはっきりと分かる服装だ。馬車も、荷台が付いた馬車などではなく高級感漂う貴族や王族が使う馬車だ。
「おいおい。いくらなんでもやばすぎるだろあれは……」
男の一人が後ずさりしてそのまま逃げ出した。
――正しい選択だろう
馬車はかなりの速さでこちらに向かってきている。
…いや、速すぎる。
「なんか変じゃないか?」
どうやら禿げた傭兵も気付いたようだ。
馬車のすぐ後方にも三頭馬が駆けている。その上にいるのは剣を振りかざした…傭兵。
「挟撃?そんな話は聞いてないが……」
槍を持った男は少し考え。
「なんにせよ好都合だ。弓の嬢ちゃんよ、このままじゃ走り抜けられて終わっちまう。馬の足を狙えるか?」
馬車馬を指して言った。
「やってみる」
ミリーの顔が急に変わった。今までの無邪気でのほほんとした雰囲気が消え、眼に力が入った。真剣な面持ちで馬の足に狙いを定める。馬車が丘のふもとまで来た時、微動だにしなかったミリーから矢は放たれた。
矢は馬の前膝に命中。足をやられた馬はそのまま崩れるように転倒した。
馬車が付いてきてないことに気付いた騎士一人は引き返し、もう一人は馬を下りて様子を伺っている。
「よくやった!よし、突っ込め」
雄叫びと共に男三人は丘を駆け降りた。が、エレンとミリーは丘に残りそれを見守った。
「あれ、エレンは行かないの?」
獲物が剣であるエレンが敵に近寄らないのでミリーはきょとんとした。
「後ろから来ている奴らが気になってね…。少し様子を見る」
「あぁなるほど。挟撃なんて聞いてないしぃ……あ、来たみたい」
先に行った男達は騎士の二人と馬車の騎手と小競り合いをしている。そこに割って入るようになぞの傭兵は馬を走らせ、そのままの勢いで騎士の一人と傭兵の一人を斬りつけた。
「やはり……あっちの目的も皆殺しのようだな」
「どうする?」
不安そうにミリーはこちらを窺った。
「突っ込む。援護よろしく」
言い終える前にエレンは飛び出した。
「くそがッ。なんだてめぇら」
禿げた傭兵は、騎士と馬に乗った傭兵の両方の攻撃をなんとか凌ぎつつ叫んだ。
「お前らこそ俺たちの仕事を横取りするんじゃねぇよ」
ちっ、そういうことか。
男の頭に浮かんだのは 「傭兵狩り」。
傭兵狩りとは、治安の悪さ利用して盗賊行為をする傭兵を討伐することである。しかし、それは表向きの話で、傭兵同士を戦わせ各国の戦力を下げるということがある。元々はガルド王国が他の二勢力を打破すべく始めたといわれているが、本当の所どうなのかは分かっていない。事実、ガルド王国領でも起こっているし、いわば停戦中で表立って手を出せない各国の小競り合いではないか、と裏では囁かれている。
「俺はこんなところで死ぬわけにはいかねぇんだよぉ!」
禿げた傭兵の獲物、身の丈ほどあろうかというクレイモアは、馬の腹ごと乗っていた傭兵の足をごっそりと斬り飛ばした。その勢いのまま回転し、後ろの騎士へと斬撃を与える。が、剣で弾かれてしまった。反動でのけぞり、その隙を逃さず騎士は体当たりをした。
「がッ」
脇腹に体当たりをくらい、痛みで悶える。
槍の傭兵は騎乗の相手には若干有利な展開をしており、間髪入れずに突きを繰り返しては、寸でのところで弾かれている。
エレンも戦いに追いつき、槍と相手をしていた傭兵に飛びかかり背中をばっさりと薙いだ。衝撃で落馬し呻いているところに槍の傭兵の一閃。
「遅いぞ!」
怒りたい気持ちは分かるが、言い争っている暇は無い。背後から騎士が槍の傭兵に剣を振り下ろした。斬撃は槍で受けたが、間合いを詰められては槍は圧倒的に不利。
「…もらった!」
騎士が突きの構えをする。槍では突きを防ぐことは不可能。男は死を覚悟した。
エレンはその瞬間を逃さず、間合いを詰めて騎士の脇腹を薙いだ。突きの構えは横からの攻撃に対応できない。瞬時に、かつ正確な判断。
「はぁ…、助かったぜ……」
男は額をつたう嫌な汗をぬぐい、胸を撫で下ろした。
――いや、落ち着くのはまだ早い、あと一人いるはず
「痛い!離して」
少女の叫びが木霊した。振り向くと、ドレスを着た少女が馬車から引きずり出されているところだった。
「ッ。わめくな、殺されてぇのか」
血のついた剣を突きつけられ、怯えた少女は目を見開き、地面にへたり込んでしまった。男は少女の腕を強引に掴み、抱えて馬に跨ろうと鐙に足をかけた。
――まだ間に合う
エレンは腰のナイフに手を当て、そこでやめた。
見つめる先の男は喉下には矢が突き刺さり、口をあけたまま崩れ落ちる所だった。男の手から振り落とされ小さな悲鳴をあげた少女は、死地へと赴く男を見てさらに大きな悲鳴をあげた。
男の一人が指差す先には、馬車が一台と馬に乗った兵士が二人。
「……騎士じゃないのか?」
遠くて判別しづらかったが、近づいてくるほどにその姿が鮮明になる。整った服装、腰に剣が一振り。戦時中ではないので鎧などは着てはいないが、身分の違いがはっきりと分かる服装だ。馬車も、荷台が付いた馬車などではなく高級感漂う貴族や王族が使う馬車だ。
「おいおい。いくらなんでもやばすぎるだろあれは……」
男の一人が後ずさりしてそのまま逃げ出した。
――正しい選択だろう
馬車はかなりの速さでこちらに向かってきている。
…いや、速すぎる。
「なんか変じゃないか?」
どうやら禿げた傭兵も気付いたようだ。
馬車のすぐ後方にも三頭馬が駆けている。その上にいるのは剣を振りかざした…傭兵。
「挟撃?そんな話は聞いてないが……」
槍を持った男は少し考え。
「なんにせよ好都合だ。弓の嬢ちゃんよ、このままじゃ走り抜けられて終わっちまう。馬の足を狙えるか?」
馬車馬を指して言った。
「やってみる」
ミリーの顔が急に変わった。今までの無邪気でのほほんとした雰囲気が消え、眼に力が入った。真剣な面持ちで馬の足に狙いを定める。馬車が丘のふもとまで来た時、微動だにしなかったミリーから矢は放たれた。
矢は馬の前膝に命中。足をやられた馬はそのまま崩れるように転倒した。
馬車が付いてきてないことに気付いた騎士一人は引き返し、もう一人は馬を下りて様子を伺っている。
「よくやった!よし、突っ込め」
雄叫びと共に男三人は丘を駆け降りた。が、エレンとミリーは丘に残りそれを見守った。
「あれ、エレンは行かないの?」
獲物が剣であるエレンが敵に近寄らないのでミリーはきょとんとした。
「後ろから来ている奴らが気になってね…。少し様子を見る」
「あぁなるほど。挟撃なんて聞いてないしぃ……あ、来たみたい」
先に行った男達は騎士の二人と馬車の騎手と小競り合いをしている。そこに割って入るようになぞの傭兵は馬を走らせ、そのままの勢いで騎士の一人と傭兵の一人を斬りつけた。
「やはり……あっちの目的も皆殺しのようだな」
「どうする?」
不安そうにミリーはこちらを窺った。
「突っ込む。援護よろしく」
言い終える前にエレンは飛び出した。
「くそがッ。なんだてめぇら」
禿げた傭兵は、騎士と馬に乗った傭兵の両方の攻撃をなんとか凌ぎつつ叫んだ。
「お前らこそ俺たちの仕事を横取りするんじゃねぇよ」
ちっ、そういうことか。
男の頭に浮かんだのは 「傭兵狩り」。
傭兵狩りとは、治安の悪さ利用して盗賊行為をする傭兵を討伐することである。しかし、それは表向きの話で、傭兵同士を戦わせ各国の戦力を下げるということがある。元々はガルド王国が他の二勢力を打破すべく始めたといわれているが、本当の所どうなのかは分かっていない。事実、ガルド王国領でも起こっているし、いわば停戦中で表立って手を出せない各国の小競り合いではないか、と裏では囁かれている。
「俺はこんなところで死ぬわけにはいかねぇんだよぉ!」
禿げた傭兵の獲物、身の丈ほどあろうかというクレイモアは、馬の腹ごと乗っていた傭兵の足をごっそりと斬り飛ばした。その勢いのまま回転し、後ろの騎士へと斬撃を与える。が、剣で弾かれてしまった。反動でのけぞり、その隙を逃さず騎士は体当たりをした。
「がッ」
脇腹に体当たりをくらい、痛みで悶える。
槍の傭兵は騎乗の相手には若干有利な展開をしており、間髪入れずに突きを繰り返しては、寸でのところで弾かれている。
エレンも戦いに追いつき、槍と相手をしていた傭兵に飛びかかり背中をばっさりと薙いだ。衝撃で落馬し呻いているところに槍の傭兵の一閃。
「遅いぞ!」
怒りたい気持ちは分かるが、言い争っている暇は無い。背後から騎士が槍の傭兵に剣を振り下ろした。斬撃は槍で受けたが、間合いを詰められては槍は圧倒的に不利。
「…もらった!」
騎士が突きの構えをする。槍では突きを防ぐことは不可能。男は死を覚悟した。
エレンはその瞬間を逃さず、間合いを詰めて騎士の脇腹を薙いだ。突きの構えは横からの攻撃に対応できない。瞬時に、かつ正確な判断。
「はぁ…、助かったぜ……」
男は額をつたう嫌な汗をぬぐい、胸を撫で下ろした。
――いや、落ち着くのはまだ早い、あと一人いるはず
「痛い!離して」
少女の叫びが木霊した。振り向くと、ドレスを着た少女が馬車から引きずり出されているところだった。
「ッ。わめくな、殺されてぇのか」
血のついた剣を突きつけられ、怯えた少女は目を見開き、地面にへたり込んでしまった。男は少女の腕を強引に掴み、抱えて馬に跨ろうと鐙に足をかけた。
――まだ間に合う
エレンは腰のナイフに手を当て、そこでやめた。
見つめる先の男は喉下には矢が突き刺さり、口をあけたまま崩れ落ちる所だった。男の手から振り落とされ小さな悲鳴をあげた少女は、死地へと赴く男を見てさらに大きな悲鳴をあげた。
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